都市の歴史の博物館

No.0103


江戸東京博物館

 

江戸東京博物館


視察日時 2001年 11月 10日


到着まで

今日は雨です。屋外の施設で狙っていたところがあったのですが、順延(個人的に・・・)しました。そこで雨天時のリザーブ候補施設に向かいます。

東京都民の施設としてなにかと物議をかもした「江戸東京博物館」です。せっかく東京に住んでいるのですがら、一度は行っておかないと・・・。

場所は両国です。地下鉄大江戸線、JR総武線の両国駅が最寄り駅です。江戸東京博物館は大江戸線が開通する遙か前にオープンした施設なので、JRの両国からの看板は万全なのですが、大江戸線側からは地下鉄のホーム内がしっかりしているくらいで、外には目立った看板はありません。

江戸東京博物館江戸東京博物館

もっとも、どちらの駅からも正面なので、大げさな看板は必要ないのですが・・・。ちなみに大江戸線の両国駅は「江戸東京博物館前」という案内放送も流れます。

外に出てみると今日は非常に寒い・・・。

この施設非常に不思議な構造で、グランドフロアになる3階部分は中空になっています。そこにさらに風が吹き込んで寒いの・・・なんの・・・。

こうした寒さをしのぎ(夏場は暑さをしのぎ??)休憩するための室内休憩室がたくさん設置されています。中は禁煙ですので煙草を吸いたい人は外で・・・となりますが・・・。

江戸東京博物館江戸東京博物館

まだ来たばかりで、休憩しようとは思わないので、チケット売り場を探します。チケット売場はJR駅側にあります。

不思議なのですが、入口はJR線路側なのですが、チケット発券所は反対側です。何ででしょうか?チケットブースは8ブースあります。3つが人間対応、後の3つは自販機対応です。この他の2ブースはシャッターが閉じられているので・・・いつ使うのでしょうか?

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展示エリアではフラッシュを使った写真撮影の他、傘など棒状のものは持ち込み禁止です(と放送している)。よって傘は入口近くに用意された傘立てにしまいます。傘立ては全部で2700本収納できる数用意しているようです。

そしていよいよ入口ですが、これが凄い・・・なんと展示フロアまでガラス張りのエスカレーターで進みます。エスカレータは夜間は閉じられるように自動ドアが付いています。

宇宙戦艦に乗り込む人ってきっとこんな感じなんでしょう・・・?

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しかし、こんな難しい動線を作ってしまって、人がたくさん必要になるのに・・・。

エスカレータより上ではチケットが販売されていないため、エスカレーターに乗る前にはチケットの提示が求められます。この確認のスタッフの方も寒そうです・・・。

エスカレーターを登ると常設展示のエリアになるのですが、下りのエスカレータもあります。江戸東京博物館は3階がチケット売場と改札で2階が企画展示のフロアとなっています。

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エスカレータに乗れない車椅子での来場者の方にはエレベータも用意されていますが、こちらはスタッフの方と同伴でないと乗れないようです。

それでは、中を見てましょう。


場内の構成

江戸東京博物館は非常に特異な建物です。4本の大きな支柱に支えられた中空の5階~7階と、地下のように感じる2階、1階となっています。

5階以上は常設展示エリアになっていて、ここに入るためには入場料金が必要です。2階より下のエリアはエリアに入るだけの場合には料金が必要ありません。主に企画展示エリアで、この他にはショップやレストラン、映像検索ブースなどがあります。

常設展示エリアは6階から入って、5階に降りるという展示ルートです。7階は飲食施設と図書館があります。7階には5階or6階からエレベーターで登ります。

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常設展示のエリアではガイドボランティアと言う人たちが待機するエリアがあります。これは場内の解説音声が日本語のため、外国から来た人たちに対応できるように、英語、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語等々様々な言語の通訳を用意しているのです。

ガイドの利用は無料で、外国から来た人たちが来るとすぐに対応してくれるというサービスです。今日は見ていると英語のガイドさんが忙しそうです。

さらにこの博物館は入口では「フラッシュ撮影禁止」となっているのですが、場所によってはフラッシュでの撮影が許可されています。フラッシュ撮影ができる展示物は案内の前にマークがあり、これがついているところはフラッシュの利用がOKになっています。

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館内の展示順路は複雑なこともあり、館内のサインはアイソメ図になっています。見ているとやはり複雑ですねぇ・・・。

そして、恒例のトイレチェックです。完成した時期が少し古いので今の最新の設備は・・・あまりないのですがマメに清掃しているようで非常に清潔です。

江戸東京博物館江戸東京博物館

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温水が出るとは・・・おそれいりました・・・。


常設展示(6階)

チケットを買ってからエスカレータでひたすら上り続けて最初に入るのが6階の展示フロアになります。まずはチケットを提示します。

当日に限っては再入場が認められているので、ここで日付印を押されます。以降再入場時は提示して確認・・・と言うことになります。もぎりとかはありません。

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チケットの確認を終わると、日本橋がど~んと迎えてくれます。この手前には「掟書き」が書いてあります。よく見ると「この橋渡るべからず」・・・ってこれは室町時代の一休サン・・・。場内での諸注意を御触書チックに書いてあります。

こういう冗談ぽいのは好感が持てますよね!!

日本橋のエリアは吹き抜けになっていて、5階を覗くことができます。見てみると6階のフロアは日本橋の両岸だけで、非常に贅沢なフロアの使い方です。日本橋はフラッシュ撮影OKなので、みなさん記念写真を撮っています。いいなぁ・・・。

日本橋を渡ると、今度は江戸時代の住宅に関しての展示です。大名屋敷に街並みの模型が展示されています。これを見ると大名の屋敷って大きいんですねぇ・・・。

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この模型の隣には、大名が乗る籠が展示されています。時代劇で最後にやられる人たちの必須アイテムですよね!!

ちょうどここにはフロアガイドの方がいて、この籠は4人で担ぐとか説明しています。非常に広い空間に一人で乗るので、「エコノミーシート症候群」にはなりづらいそうです・・・確かに・・・。ちなみに籠だけで60キロくらいあるので、人が乗って120キロを楽に越えるそうです。4人で一人の負担が単純に30キロ・・・確かに辛いですねぇ・・・。

この先では、江戸幕府を開いた徳川家康に始まる徳川家のゆかりの品の展示・・・。

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忠臣蔵でおなじみ「松の廊下」の模型なんかもあります。時代劇ファンの小生的にはたまらない展示です・・・。

徳川家康から始まる徳川幕府に関してのいろんな資料が展示してあるのですが、読んでみると徳川幕府って本当に政治支配のうまい人たちです。

そんな江戸というよりは、徳川幕府の歴史がよくわかる6階です。


常設展示(5階)

6階からエスカレーターで一つ下がると5階のフロアです。こちらは政治的なことよりは、庶民に関してのスポットが当たっているエリアです。

半分は江戸時代のこと、そして半分は明治維新以降の「東京」のことです。「江戸東京」博物館ですから・・・。

まずは江戸時代の展示ですが、庶民の生活「長屋暮らし」を蝋人形で再現しています。もう少し音声なんか入れたりしたらリアルで良いと思うのですが・・・。

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このエリアおもしろいのは、実際に持ったりできる展示があることです。千両箱や肥桶なんてどのくらい重いのか?体験できるのはここだけでしょう。

しかし、肥桶の意味を知っていたら、あんなにみんなで持ちたがらないのでは・・・ねぇ・・・?ちなみに千両箱は11.3キロになるそうです。こんなに持てたらなぁ・・・??

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続いて、江戸時代の庶民の遊びについての模型展示。江戸時代は隅田川の河岸が大人気だったようです。今で言えばお台場みたいなものだそうで・・・どの時代でもウォーターフロントは人気があります。

この隅田川沿い(現在の両国付近らしいです)の模型は、15分くらいのサイクルで音声によるガイドがあります。落語家(名前はわからなかった)さんらしき人のナレーションで、とっても聞いていておもしろいです。

音声ガイドには映像も出ており、これは小型カメラで模型を大写ししたものが流れています。よくみると人形も精巧にできていますねぇ・・・。

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さてその先には江戸時代の娯楽の花形「歌舞伎」の世界です。歌舞伎の役者の装束が人形に着せてあったりします。この辺は今も昔も・・・と言う感じですが・・・。

このエリアは歌舞伎座を再現している外観になっています。中は歌舞伎のエリアともう一つの娯楽の「遊女」遊びに関してです。吉原の女性の人はよく働くんですねぇ・・・小生より遅くまで起きてて、小生より早くから仕事してます・・・う~ん・・・怠け者現代人の典型であることを改めて知らされて落胆・・・。

気を取り直して進みましょう。この先では今までの展示品を手で触れるように模型して、目の見えない人でも展示を体験できるようにしてあるコーナーがあります。これはアイデアです。

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この先には、インフォメーションがあります。触る展示エリアに近いけど触ったら警察呼ばれますよ!?

この触る展示エリアの歌舞伎座を挟んで反対側には、江戸城を造った太田同灌の像や、おなじみ甲冑に刀と言った時代劇ファンにはたまらないコレクションの展示があります。

そしてこのエリアを過ぎるといよいよ、明治維新を過ぎて「東京」のエリアに入ってきます。

文明開花時の建築物を模型で再現しており、時間のローテーションで明かりがついたりします。スタッフの方のガイドがあるのですが、音声や照明とちょっと噛み合っていないような気がします。みんな模型を見ているのに、その後ろから何か言われても・・・。

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そして明治時代を過ぎるとデモクラシーの大正時代。この時代の大事件と言えばなんと言っても「関東大震災」震災当時の新聞記事や、避難所で人捜しを行うための施設の備品などの展示があります。

そして関東大震災で崩落するまで、東京の名物だった浅草のタワーや当時の公衆電話なども展示されています。

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大正時代に現れたものと言えば、そう自動車です。で、自動車が現れれば当然必要になるのが、信号。昔は手動で信号を操作していたのです。

「パタン式信号」と言うそうなのですが、なんともこんなの今だったら大変ですよね!!

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こんな惨事と繁栄の両極端な時代の大正時代を過ぎると、次は昭和の時代。やっぱりクローズアップされるのは戦争関係です。

東京の大空襲時の映像やそのときの惨状を伝える様々な展示があります。東京大空襲はB29が329機も来たときがあったそうで・・・確かに・・・こりゃ逃げられませんねぇ・・・。

挙げ句の果てに広島、長崎に原爆を落とすんですが、これに対抗して日本が考えたのが「風船爆弾」・・・。こりゃ戦争勝てないわねぇ・・・。

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さてさてこうした展示物の説明は展示物前にあるサインでももちろんありますが、他にも音声あり映像ありで非常に手が込んでいます。

おもしろいのは内線電話みたいな電話機を利用したガイダンスシステム。受話器を取ってボタンを押すと当時のラジオ中継が聞けるという代物です。

受話器を片手に「前畑ガンバレ!!」の実況を聞けるとは・・・

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辛い時代の後は、いよいよ復興に向けてです。高度成長期の三種の神器(テレビ、洗濯機、冷蔵庫)を始め、エンジン付き自転車、炊飯器に軽自動車等々・・・。

戦後は自転車と人力車を合体させた「リンタク」なんて言うのもあったのです。そして名車スバル360なんかも飾ってあります。

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まぁこんな時代の流れを経て東京は現在に至る訳です。

そして最後のエリアでは、「未来へメッセージを送ろう」というコーナーがあったりして、歴史を堪能した後は、未来にも目を向けましょうということなんでしょうか?

そしてせっかく来たんですから人力車に乗って記念写真なんて言うのもできるんですよ!!もっとも、最近は浅草で日曜日に走ってますけど・・・。

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常設の展示エリアはこれで終了です。ここからはエスカレータで再び下に降ります。もっと見たい人はエレベーターで再び上に上がりましょう!!

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企画展示エリア

エントランスでもある3階からエスカレータで一つ下がると企画展示のエリアです。今回の企画展示は20日から開催の予定で、今日は残念ながら何もありませんでした・・・。

このフロアは企画展示エリアの他、大ホールに会議室、学習室、映像ライブラリーなどがあります。

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大ホールではまだしばらく時間がありそうで・・・また今度・・・。

学習室は勝手に入れないので残念ながら・・・となってしまいました。

映像ライブラリーですがこちらは1階からさらに一つ下がった地下1階にあります。ここは撮影禁止のため見るだけでしたが、独自に作った映像を見れるブースと収蔵庫にある展示物のデジタル映像を検索して見れる2種類のブースがあります。

ブースは1~5人で利用することができます。日本科学未来館のように寝ている人はいませんでした・・・。

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この他には7階には図書館があります。歴史書の他に昔の地図なども見れるようです。7階へは5階or6階からエレベーターを利用します。お金を払わない人は入れないのです・・・?


物販と飲食

博物館というと飲食施設や物販施設は・・・。と思いがちですがここは違います。

まずは飲食施設です。企画展示エリアに1箇所あります。こちらはメニューも本格的で「軽くお茶する・・・」と言う感じではありません。

食券を買って、テーブルについてきちんと配膳される立派なテーブルサービスレストランです。しかも中は清潔です。

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但し場所が悪い・・・。企画展示室の一番隅に入口があり、実際のレストランはなんとフロアが別になっているのです。こんな良いレストランなのにもったいない・・。

レストランはもう一つ、こちらは7階にあります。こちらはもっと本格的で和食レストランです。企画展示エリアのレストランは「洋食レストラン」と書いてある理由がこっちに来てわかりました。

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さらには、軽くお茶したい人には「カフェ」もあります。都心の眺望を身ながらお茶できるなかなか洒落た場所です。

そして、物販施設ですが、こちらも2箇所。一つは企画展示のエリアに・・・。記念写真コーナーなんていう場所まであります。

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売っているものはお土産品の他、江戸時代の地図などがあります。

もう一つのミュージアムショップは常設展示エリアの5階にあります。こちらも内容は企画展示エリアとあまり変わりませんが、規模がちょっと小さいのが寂しい感じがします。

どちらかというと5階の方が利用者が多いのですから・・・

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物販施設は、普通の博物館並ですが、飲食施設には恐れ入りました・・・。


感想

展示の方式や展示エリアの動線の広さ、見学のしやすさなどは抜群です。フラッシュはダメと言う施設が多い中、アイテムを選んで許可しているなどの運営工夫も抜群の施設でした。

残念なのはやはり3階から6階まで続くあの長いエスカレータです。乗っている間かなり寒い・・・逆に夏は暑そう・・・。建物を空洞にしたのが原因ですが、これはどうすることもできませんね・・・。

後は企画展示エリアと常設展示エリアがフロアが離れすぎていて、一体感が無いことです。企画展示でリピーターを稼ぐというのは難しい施設かもしれません。

それもこれも、運営する人のせいではなくて、この施設を作った人の問題で・・・いかんともしがたい・・・ですねぇ・・・。

運営上一つだけもったいないのは、記念写真のエリアです。ここで写真撮ると江戸東京博物館がまっすぐ中央に入らないのでは・・・?

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江戸と東京の全てがわかる博物館。江戸東京博物館です。都民の人もそうでない人も一度は行ってみては如何でしょうか?楽しいですよ!!

視察記録

江戸が東京になるまで、東京になった後の都市の移り変わりを展示している博物館。企画展も多く、徳川時代から明治、大正、昭和と歴史を確認できる施設。2025年度まで長期改装中。
TEL 03-3626-9974
住所 〒130-0015 東京都墨田区横網1丁目4−1
URL https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
料金 長期改装中
営業時間 長期改装中
アクセス JR総武線 両国駅より徒歩3分

地図(GoogleMAP)

天気予報(ハリテンより)

視察履歴

2001/11/10
都市の歴史の博物館 

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