やや大人向け、一人でも楽しめるスペースワールド!?

No.0126


スペースワールド


スペースワールド


視察日時 2002年 2月 24日


到着まで

鹿児島本線の事故の影響もほとんどなくなり、今日はスペースワールドに行くことに・・・。昨日のハウステンボスと同じく、10年近く前までさかのぼらないと、この施設の来場体験はない・・。

例によって博多駅から移動開始となるが、電車は少し遅れ気味・・・。でも今日は昨日のような「いつ来るかわかりません」といった事態はない。

博多駅では、特急「湯布院の森」が若い女性を満載して出発。続いて入ってきた快速電車にはファミリーが満載。こちらがスペースワールドに大挙する一行になる。

スペースワールドスペースワールド

博多駅から快速電車に揺られること40分あまり、昨日の事故現場をこの目で・・・という希望むなしく、いつものごとく爆睡の後、スペースワールド駅に到着。

名前は「スペースワールド」駅なんですが、見た目は普通の駅。せっかくだったらコテコテにしてしまったもという気もしますが・・・。しかし、問題はこの先。最寄り駅とは言いますが、ここから歩くこと15分近く。

平坦な道のりですが、スペースワールドの外周をほぼ半周・・・。朝から堪えます・・・。

スペースワールドスペースワールド

やっと到着しましたので、まずは駐車場からチェックしましょう。JRの線路を挟んで、二つの駐車場があります。スペースワールドに近い側は立体駐車場になっていて、こちらはどちらかというとサブ駐車場です。規模もそれほどではありません。

メイン駐車場になるのはJRの線路をくぐった側にあります。駐車場自体は非常に大きくてオーソドックスな作りです。料金は前払いなのでゲートには人がいますが、中で誘導しているようなスタッフはいません。

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サブ駐車場は立体部分もあるので、こちらはややスタッフが多くなっています。

エントランスの周りには、団体のための記念写真スポットなどもあります。このアングルだと「スペースワールド」の看板が思いっきり斜めになるのですが・・・。

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チケットを購入し、いよいよ入場します。改札はガラス張りの壁の一部が扉になっていて、テーマパークに入るというより、外国のサッカー場のような雰囲気です。

「こんにちは!!」という元気な声に迎えられて、入場です。


場内の構成(右側)

スペースワールドの敷地は三角形になっています。三角形の底辺の中点当たりが改札になっているので、右からでも左からでも楽しめます。

右隅には「ヴィーナス」、左隅には「流星ライナータイタン」と二つのコースターがあります。

まずは右から回ってみましょう。スペースワールドはその名の通り宇宙を体験できるテーマパークです、オープン当時は大人気だったスペースキャンプが見えてきます。スペースキャンプはNASAのトレーニングが体験できるというのが大変な人気を呼んだのですが、それも過去の話のようで、今日は誰も体験者がいません・・・。

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この隣には子供用のコースター「クリッパー」があり、さらに奥には「ヴィーナス」があります。今日の最初のアトラクションは「ヴィーナス」から行って見ましょう。

中に入ってビックリするのが、改札1名と、乗車場に1名しかスタッフがいません。このため乗り降りの時間は少しかかってしまうのですが、なかなか手際の良いスタッフです。

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ヴィーナスはスピードよりは回転を重視したコースターで、宙返りに垂直旋回等々の動きをしてくれます。乗った感じは横揺れがやや辛い・・・お尻が痛くなってきました・・・。

ヴィーナスの奥は「ディスカバリースクエア」という広場になっていて、ここにはシンボルのスペースシャトルが飾ってあります。1日に何回かエンジンの点火ショーがあるんですが、明らかにドライアイスとわかる煙がブォ~・・・っと・・・。もう少しなんとかならんものでしょうか?

スペースワールドスペースワールド

スペースシャトルを見ながら、観覧車の方に向きを変えると、この通りにはアトラクションがたくさん並んでいます。

スペースコースターというオープン当時からあるコースターは、前向きで乗れる車両と、後ろ向きで乗れる車両があり、同じコースで2倍楽しめます。最もコースター自体はそれほどスピードが出ないので、後ろ向きはイマイチ・・・。

スペースワールドスペースワールド

スペースコースターの先にはシミュレーションシアター「スターシェイカー」があります。こちらは二つのプログラムを用意しているようですが、今回見たのは全編CGのストーリー。内容は言ってしまうと興味半減ですので、触れませんが・・・揺れはちょっときつい感じです。乗り物に酔いやすい人にはあまりお奨めできません・・・。

人気はあるのですが、個人的には余り好きではないシューティングライド「コスモファイター」はスペースコースターの隣です。シューティングライドは人気があるようでずいぶん並んでいますが、こちらは運営が30分に1回。もう少し動かしても・・・。

一方スターシェイカーの奥には、大きな浮き輪でグルグル回るラフティングライド「惑星アクア」があります。この寒空の中皆さんカッパ着て楽しんでいますが、終わってくると決まり文句「ビショビショ・・・!!」って当たり前です。

スペースワールドスペースワールド

パークの右半分は大人向けのアトラクションが多いようですね。


場内の構成(左側)

場内の左側には、スペースワールドが誇る高速コースター「流星ライナータイタン」があります。さすがに遠くからでも目立ちます。

驚くことにこのコースター。ヴィーナスと同じで改札一人に、乗車一人。これだけのコースターを乗り場一人というのは、ここだけでは??と思いますが・・・。

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タイタンは、登りきった後、コブを一つ越えて後は旋回の連続というタイプです。さすがに登っていくときにはドキドキしましたが、スチールドラゴン程の迫力は・・・って当たり前ですね。

タイタンの横には、フリュームライド「ツインマーキュリー」があります。こちらは火山の山を突き進む「アドベンチャークルーズ」と花や鳥を見ながら進む「ファンタジークルーズ」の二つがあります。

もちろんお約束の「ビショビショ」になるアトラクションです。

スペースワールドスペースワールド

タイタンの入口周辺は「わくわくファミリーランド」というエリアになっています。ここは主にキッズ用のアトラクションが集められています。

アトラクションに乗るというよりは、アトラクションに乗った我が子をビデオや写真に収めるためのエリアと化していますが・・・。

スペースワールドスペースワールド

もちろんこのエリアのアトラクションは激しいものはありませんが、これがなかなかの盛況ぶり。客層は圧倒的にファミリーが多いですからねぇ・・・。

さらに体を動かしたい子供のためには、テント素材を使った滑り台「スペースシューター」なんて言うのもあります。

スペースワールドスペースワールド

アトラクションから少し離れて、イスに座りたい人には「ギャラクシーシアター」なんかがお奨めです。大画面の迫力映像を見ながら、昼寝してしまいましたが・・・。

スペースワールドの記念に、コスプレ映像なんかを撮りたい人は隣の「イメージマジック」なんか如何でしょうかねぇ・・・。たくさんのグループで来たように撮って下さい、という注文は無理なようですが・・・。

スペースワールドスペースワールド

遊園地といえばお化け屋敷が定番ですが、ここは宇宙をテーマにしたテーマパークなので、お化けではなくて「エイリアン」が出てきます。エイリアンパニックです。中から悲鳴が聞こえてくるのですが、一人ではいると思いの外・・・。やはりこの手の施設は二人以上で入りましょう・・・いやホントに・・・。


スペースドーム&ビックバンプラザ

入口のちょうど対面に当たるところに「スペースドーム」があります。こちらはドーム内にいくつかのアトラクションが入っている。パークインパークってことでしょうか?

屋外施設では雨降ると何もできなくなるので、こうした屋内施設があると助かります。

スペースワールドスペースワールド

中にはいると、空気の出ていない「エアーシャワー」で殺菌してから、ドーム内に入場します。未来の宇宙空港のイメージでしょうか?一番下のエリアからエスカレーターでアトラクションのエリアに向かいます。

アトラクションは「コースター」と「シミュレーションシアター」の二つがあります。両方乗ってみましたが、コースターには少し狭いかもしれませんです・・・暗いし・・・。

スペースワールドスペースワールド

時計を見ると「ビックバンプラザ」でのショーの時間。急いで移動してみたがかなりの空きがあります。皆さん何か紙を持っているのですが?そのまま見ていると、お馴染みのキャラクターが出てきて、ご挨拶のダンスが始まった!!

いつもの展開かと思いきや・・・。なんと司会のお兄さんが「ビンゴ大会」を始めるそうで、200円でビンゴカードを購入して下さい・・・。う~ん、こんなショー始めてみた!?


飲食と物販

スペースワールドは場内の各所にレストランがあります。中でもビックバンプラザの上にあるレストランはショーを見ながら食べられるという豪華なレストランです。

スペースワールドスペースワールド

この他にもフードコート「ローリー・ボーリー」なんて言うのもあります。こちらはツインマーキュリーの隣にあります。

フードコートなのでオーダーするとポケベルをもらえます。これが鳴ると出来上がりなので、再びカウンターに取りに行くという仕組みです。

スペースワールドスペースワールド

内容はファーストフードが中心ですが、もちろん視察の友「生ビール」もあります。

一方物販施設ですが、こちらは入口周辺に固められています。記念写真を渡してくれる「ホットショット」もあります。夕方近くなるとかなりの混雑になります。

スペースワールドスペースワールド

もちろんお馴染みのお土産屋さんやキャラクターショップなんかもあります。

一人で行くとお土産はなかなか買いづらい・・・。ちなみにアイテムは定番ものが殆どでした。


感想

久しぶりに行きましたが、テーマパークというよりは「テーマ性を重視した遊園地」に近いような印象を受けました。

変貌を遂げているようですが、それでも人が来ているのだから良い方向なんでしょうか?

スペースワールドスペースワールド

一応パーク内でのキャラクターグリーティングもあり、このときには子供に囲まれていますが、ショーでビンゴ大会があったのは少々驚きました・・・。

遊園地とテーマパーク。その中間を行くスペースワールドでした。でも何だかんだで閉園時間(17時)まで居たんですけどね(笑)。

視察記録

2018年1月1日午前2時で惜しまれつつ閉園した「スペースワールド」。そのテーマ性から苦戦を強いられることもあったが、テーマを最後まで貫いた矜持のある施設でした。

視察履歴

なくなるよ!! (2017年7月26日)
密やかな(?)20周年(2010年4月6日)
やや大人向け、一人でも楽しめるスペースワールド(2002年2月24日)

動画内容の文書起こし

昔、まだ元号が平成と言われた時代に、九州は福岡県、北九州市に「スペースワールド」というテーマパークがありました。

平成2年に、それまでユニバーサルスタジオの候補地にもなったことがある、新日鉄の工場の跡地でスペースワールドは誕生しました。

開業時の最寄り駅はJR九州の枝光駅。ここから徒歩15分ほどの距離でした。

その後、スペースワールド駅が開業して、施設の目の前が駅になりました。

敷地の中には、スペースシャトルの実物大模型があり、一日に数回煙を上げて発射するイベントがありました。

西日本では施設独自のキャラクターショーがある最初のテーマパークでもありました。

パーク内のアトラクションは星や宇宙を連想させる名前で統一されており、宇宙のことを学習できる宿泊棟もありました。

初年度は185万人と、当時の西日本では最大の入場者数を誇るテーマパークでした。

施設の目新しさ、九州で初めての大型テーマパークは多くの周辺居住者の興味を引き、西日本を商圏に多くの人が訪れる施設となりました。

しかし、当時は東京ディズニーランドを筆頭に遊園地やテーマパークはアトラクションの設置競争を繰り広げている時代、

スペースワールドもその荒波に飲み込まれ、開業後も毎年のように新機種を開業させていきました。

入場者数はその後は右肩上がりで増えていきましたが、度重なる機器の投資は会社の経営に大きく負担を強いるものでした。

入場者数は1996年の216万人をピークに、徐々に減少に転じます。

1992年に長崎県にハウステンボスが開業し、テーマパークとしての唯一性が失われてしまったこと。

さらに九州内の遊園地施設もアトラクション機器を逐次投入して集客の挽回を図ってきたことが原因でもあります。

そして、長期間に渡って顧客の来場意欲を保ち続けることが難しい「宇宙」がテーマであったことも響いておりました。

2001年に大阪にユニバーサルスタジオジャパンが開業すると、今まで独占状態だった西日本地域の顧客が流出を始めます。

こうして、2005年にスペースワールドは民事再生法を申請して、事実上の倒産となりました。

その後、レジャー施設の運営で大きな成功を収めている加森観光が新しい経営会社となり、スペースワールドは再建に向けて再出発するのでした。

まずは、日本初登場の大型アトラクションが導入されます。

その名もマグナムブースター「ザターン」。

油圧式のカタパルトで急加速されたライドは65メートルの高さまで垂直上昇、その後一気に垂直下降するというものでした。

経営が加森観光になって、運営には変化の兆しが見えるようになりました。

それまで他の遊園地のライドと同じような運営をしていたアトラクションでした。

スペースワールドでは他の遊園地にあるようなライドでもスタッフによる演出が加わるようになりました。

機器のハードはそのままですが、アトラクションの名称が変わり、新しい運営方法は顧客の興味を再び引き始め、2007年に集客の増加に転じました。

その後はアトラクションの演出が面白いパークとして九州内と中国地方西部を中心に順調に集客を取り返していきました。

当時はユニバーサルスタジオジャパンの業績不調などがありました。この反動を恩恵にしながら多くのファンに愛される施設となりました。

2007年には九州では設置している施設が少ないスケートリンク「フリージングポート」が開業します。

屋内に設置して通年営業するため、夏の時期でもスケートが楽しめるという施設でした。

しかし、この年にメインアトラクションであった「タイタンV」が運営中に負傷者を出す事故を起こし、以降しばらくの間運営できない状態になります。

それでも2008年にはそれまで子供遊具エリアとして利用されていた場所を改装し、本格的なプールエリア「ミューナ」が開業します。

これによりスペースワールドでは夏にプールを楽しんだ後に、スケートも楽しめるという内容が盛りだくさんな施設になりました。

開業20周年の際には、それまでステージを中心に活動してきたキャラクターが登場するパレードなども実施されました。

従来からあるアトラクションに加えて、キャラクターショー、プールやスケートなどの体験施設など様々な楽しみ方ができるスペースワールドは多くの顧客を魅了し続けました

一時期、スケートリンクは廃棄された魚を氷の中に埋め込み、「氷の水族館」として営業する期間もありました。

廃棄された魚を氷に埋め込んで顧客に見せることが、ネット上を中心に非難を浴びることになりました。

しかし、数々の不祥事を乗り越えて、2016年にスペースワールドは過去最高の利益を達成したのでした。

何度も、危機的な状況に追い込まれながらも、不死鳥のように立ち直ってきたスペースワールドでしたが、2017年になって衝撃的なニュースが流れました。

2017年の年末をもって閉園することになったのです。

スペースワールド側の説明では、レジャー環境の多様化による施設の魅力低下や、全国的な少子化の進行、主要商圏の北九州市の人口減少などが原因とされました。

また、一部の報道では土地の所有者の新日本製鉄と運営会社の加森観光の間での賃貸契約交渉がうまくまとまらなかったことが原因ともいわれました。

スタッフが整列して「なくなるよ!全員集合!」と呼びかけるCMは商圏内にとどまらず、全国のテーマパーク愛好家の注目を浴び、施設は活気を取り戻しました。

最終年度は入場が制限される日もあるほどの人気となりました。

そして、2018年1月1日午前2時、2017年のカウントダウン営業を終了したスペースワールドは27年間の生涯を閉じることになりました。

スペースワールドのライド機器は、一部は他の施設へと移り、今も利用されています。

「またいつか、別の星で会いましょう」が最後の挨拶の言葉だったスペースワールド

テーマを作り、テーマに泣き、テーマを育て、テーマを貫いた、スペースワールド

これほどまでに、華やかに、感動的な閉園は、日本のレジャー施設の歴史上に類を見ません

現在、その面影を知ることができるのはJR鹿児島線の駅名だけになってしまいました。


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