子供の時以来の来訪でした
No.0016
向ヶ丘遊園
視察日時 1999年 8月 21日
入場まで
東京ディズニーランドができるまでは、小田急線の沿線の住民にとってレジャー施設と言えば向ヶ丘遊園地かよみうりランドでした。沿線の小中学校ではたいてい高学年になると、このどちらかが必ずルートに選ばれます。
と言うわけで小生も小学生のときにはよく行ったものですが、時は流れ30を過ぎて独身のうちに再び訪れることは子供のときには知る由もありませんでした。
向ヶ丘遊園には小田急線の向ヶ丘遊園からモノレールで行きます。久しぶりに間近で見ましたが、昔とほとんど変わっていません。20年以上も同じモノレールが走っていると言うことでしょうか?
ゲートに付くと(ちなみにこの日は原付で行きました)、昼前と言うことでちらほらと来場者がいます。但し昔(自分が記憶していたような)混雑はありません。プールがあっても真夏の炎天下では来場者が多いことは無いと言うことでしょうか?ゲートもがら空きです。
プールはゲートを抜けてエスカレータで登った中段にあります。久しぶりに乗ったエスカレータですが雰囲気は昔のままでした。ちなみに目線は30センチほど高くなっていますが・・・。
プールの入口では入場時に買ったプール券を渡します。ちなみに入場料金は1,500円ですが、プールを利用する場合にはさらに300円で、合計1,800円必要になります。
更衣室は至ってシンプル。上が吹き抜けになっている部屋をカーテンで仕切っているだけです。さすがに男女間には板が張ってありますが・・・。ロッカーは全てコイン式で1回300円取られます。さらにこの先のエリアは土足禁止です。
更衣ブースなどはありませんが、ドレッサーと有料(1回100円)のドライヤーがあります。
更衣室の外には家族できた人のための大型ロッカー(500円)が並んでいます。さらにチケットカウンターの裏には本日の忘れ物が集まっています。
ちなみにこの付近は物販の施設がいくつかあります。レンタルは一切ありません。
場内はサンオイルは禁止ですが、グッズショップで売られているタイプなら言いそうです。ちなみに市販されているものと変わらず、何のために制限しているか少し疑問・・・?ショップのコーナーを抜けるといよいよプールのエリアです。強制的にシャワーを浴びせられますので気を付けて・・・
プール内にて
プール内にはいるとまずビックリするのが人の数です。所狭しと敷物で陣取りをしていて足の踏み場もありません。当然有料シートゾーンは全て売り切れです。
プールの構成は流水プールが一つ、普通の遊泳プールが一つ、子供用のプールが一つ、そしてスライダーと言う構成です。スライダーは全部で3レーン。
流水プール
一周するのに10分くらいでしょうか?プールエリアをぐるりと取り囲んでいる流水プールです。水深は全て90センチで統一されているので大人が泳ぐとおなかをすります。
流水プールは途中で橋が架かっていますので、頭上は注意しましょう。
遊泳プール
水深が140センチくらいです。長手の方で見ると25メートルくらいあります。基本的に泳ぐのが専門のプールですが、流水プールに行けるように一カ所通路ができています。
子供プール
子供用のプールと言うよりは、水たまりです。船の形をした乗り物でスライダーなどが付いています。子供が楽しそうに遊んでおり、親御さんは写真やビデオを回しています。水回りデビューにはもってこいの場所といえます。
スライダー
スライダーのあるプールは遊泳エリアから少し離れています。階段を上り詰めるとスライダーのエリアでここは比較的空いています。
レーンは3レーンですが、特に激しいものなどはありません。ファミリー向けの施設ならではと言うよりは昔からあるスライダーと言った感じです。
飲食施設
飲食施設はプールエリアで2カ所、スライダーエリアに1カ所の3カ所あります。内容はファーストフードが中心で、飲み物はビール、コーラ等です。
メニューをはじめとしたサイン類ですが、色があせていて読みづらいのが難点です。ビールはアサヒビールと提携していて、場内各所で「スタイニーボトル」で提供してくれます。プールエリアではドリンク類だけを売るドリンクスタンドも稼働しています。
ドリンク類ではジュース類より「水」がよく売れています。銘柄は「クリスタルカイザー」でした。
休憩コーナー
救護室の横には休憩コーナーがあり、ここはクーラーが効いていて涼しくなっています。
休憩コーナーには長椅子の他、ゲームコーナーなどがあり水着のまま利用できます。煙草もここで吸えます。基本的に場内は禁煙ですが、守っている人はあまりいません。
遊園地ゾーン
プールでの滞在も飽きてきたので、プールを出て遊園地ゾーンに向かいましょう。先ほどはなした忘れ物のかごですが、さすがに増えていました。
プールの入口を出たところにもアーケードゲームと子供用遊具があります。子供が網の中に入れられてちょっとかわいそうに見えますが・・・
遊園地エリアに向かうにはエスカレータをさらにもう1段登ります。山の頂上が遊園地ゾーンのエントランスです。
暑いせいか、人影もまばらです。特に乗りたくなるようなものはないのですが、久しぶりに来たので一通り回ってみることにしました。以降写真でお楽しみ下さい。
ブースカランド
向ヶ丘遊園にはブースカランドと言うエリアがあります。これはかつて一世を風靡した怪獣ブースカのエリアと言うことです。怪獣ブースカを見たことある人はかなり少ないでしょうが、非常に人気の高いエリアです。
内容的には子供の遊び場で、セサミプレイスによく似ています。ちょうど中ではブースカの登場の時間でした。
プラレール王国
夏季限定のイベントです。プラレールと言えば子供の頃のよくやったものですが、未だに健在なんですねぇ・・・
懐かしい反面、年齢を感じてしまうイベントでした。
最後に
小学生の高学年くらいになると家族での来場者はTDLに行ってしまいがちなので、向ヶ丘遊園をはじめとした遊園地ではそれより低い年齢層をターゲットにした来場者にあわせた作りになっているような気がします。
特に激しくなく、それでいて飽きさせない。そんなことを重点に置いた施設の遊具配置になっています。また1回の遊具の使用時間も5分程度ありました。
これが遊園地の生きる道を地で行く向ヶ丘遊園の今後の発展を願ってやみません。
小田急電鉄運営の遊園地。花壇が地元では有名でしたが、アトラクションのハイスペック化傾向についていけず閉園となってしまった施設
視察履歴
閉園決定のニュースを聞いてきました (2001年10月22日)
プールを見に来ました (2001年7月14日)
子供の時以来の来訪でした (1999年8月21日)
動画内容の文書起こし
昔、昔、
今から20年ほど前の神奈川県は川崎市、宮前区に向ヶ丘遊園という大きな遊園地がありました。
1927年に親会社の小田急電鉄の開通とともに誕生して、1970年代には沿線沿いの住民を中心に多くの人で賑わっておりました。
特撮技術で世界的に定評がある円谷プロダクションの撮影スタジオから近いということもあり、昭和期のウルトラシリーズにはロケ地として何度も利用されておりました。
ウルトラQ、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン
放送時には高視聴率を連発したテレビ番組に何度も登場しておりました。
遊園地最寄りの小田急線の向ヶ丘遊園駅より、施設の入口前まではモノレールが通じており、遊園地の行き帰りの子供達には大変好評でした。
向ヶ丘遊園は花のテーマパークとしても有名でした。
改札を抜けた先にある大階段の花壇の中にある花時計は、四季を通して様々な花がその色彩を競っておりました。
向ヶ丘遊園の園内は大きく分けると3つのエリアがありました。
遊戯機器エリア、フラワーガーデン、プールエリアです。
プールは夏時期しか営業しませんが、遊泳プールと流れるプール、スライダーなど夏のレジャープールに必要なものは最小限揃っており、多くの家族連れで賑わいました。
プールエリアは改札を抜けた後に、階段の途中で園内とは通路が分岐しており、遊戯機器やフラワーガーデンを同時に楽しむことは構造上できません。
このため、プール内では飲食店舗などが繁忙時期には大変混雑しました。
今のようなお洒落な食べ物などは特にありませんが、ラーメン、カレーといった遊園地の定番商品を味わうことができました。
遊戯機器のエリアは、改札を抜けて階段を登り詰めた丘の上にありました。オリジナルのアトラクションと言われるものはなく、遊園地の定番機器がエリア内には多数配置されておりました。
機器の数は全部で20機種。多くの機器は子供向けに作られたものであったため、若いカップルにはちょっと物足らない感じで、小学生以下の子供を連れた家族が利用することが多かったようです。
屋外の施設が大半を占めていた向ヶ丘遊園ですが、レゴやプラレールという子供向けの遊具を集めた屋内施設もありました。
季節ごとに利用できる遊具を入れ替えたりするなど、飽きが来ないように工夫されていました。
円谷プロダクションのロケ地として使われることが多かったこともあり、円谷プロダクションの作品である「怪獣ブースカ」のエリアもありました。
一日に何度かブースカが登場して、写真を撮ったり、握手をしたりすることもできました。
そして、フラワーガーデン。
今でこそ、ハウステンボスや東京ドイツ村など植栽で誘客する施設は多数あります。
しかし、この時代は遊園地は遊戯機器がどれだけ充実しているかが、施設の評価に直結していた時代です。
ある意味フラワーガーデン時代は、先駆的な施設で後のテーマパークの植栽配置には影響を与えたかもしれません。
花は、バラ、蘭、チューリップなど季節に合わせて咲く花が変わり、花に囲まれたフラワーガーデンは家族でお弁当を食べるには最も良い場所でした。
向ヶ丘遊園の商圏内の住民は、その多くが高度経済成長期にマイホームを手に入れた人が多く、自宅の庭を手入れする際に参考にしていた人も多くいました。
このためフラワーガーデンは高齢者が写真を撮るために利用するという使い方も多くみられたそうです。
小田急線の沿線は高度経済成長期に団地が建設された場所が多く、利用者も多い鉄道路線でした。
このため無理に事業を拡張しなければ、一定の利益が上がる施設だったはずです。
しかし、1983年に東京ディズニーランドが開業すると、関東の遊園地は大きな打撃を受けます。
向ヶ丘遊園にとって大きなダメージだったのは、それまでは日本に存在しなかったフリーパスの登場だったと思われます。
元々遊戯機器は建設費を賄えるように一回当たりの利用料金を設定します。
これがフリーパスになれば同じ機器を何度も利用してもらえるようになるというメリットはあります。
しかし、一回当たりの利用金額は個別に利用した場合よりもかなり下がります。
加えて、東京ディズニーランドが開業する前からあった遊園地の多くは、飲食施設や物販施設を重視しておりません。
遊園地は家族がお弁当を持っていく施設と考えられていたからです。
また、向ヶ丘遊園のように近隣からの集客が多数を占めている施設では、あえてお土産を購入して買えるという客層も少なかったはずです。
このため東京ディズニーランドのようにフリーパスでアトラクションの利用料料金を低く抑えて、
その分を飲食や物販で稼ぎ出すというモデルが通用しなかったことが経営的に悪影響だったと思われます。
2000年にはそれまで駅と遊園地を結んでいたモノレールも老朽化により点検時に大きな問題が見つかり営業休止。
その後は客足が離れていくことに歯止めがかからず、ついに2002年の3月に閉園となりました。
閉園後はフラワーガーデンの存続を望む人も多くいましたが、計画は何度かとん挫して現在は敷地の一部にその面影を残すのみになっています。
唯一施設の存在が確認できるのは、駅名だけということになってしまいました。