プールを見に来ました
No.0066
向ヶ丘遊園プール
視察日時 2001年 7月 14日
到着まで
「梅雨明け」と言う言葉を最近聞かなくなった気がします。いつの間にか夏に突入するというパターンが、この2、3年続いているようです。今年も例外ではないようで、今主は連日30度を突破する酷暑・・・。
当然こんな時は水をかぶって体を冷やすのが得策です。今回は「向ヶ丘遊園プール」に行きます。向ヶ丘遊園は小田急電鉄の輸送量増強を目的に作られた、遊園地としては「正統派」のタイプの遊園地です。いわゆるテーマパークの波にあおられた1990年代も、こうした波にあおられることなく運営を続けています。
場所は小田急線向ヶ丘遊園駅より、地元民には有名なモノレールで1駅(約10分)。車で行くと、東名高速川崎ICより約15分程度です。気温35度の12時30分という一日の中でもっとも暑い時間ですが、駐車場は余裕があります。
駐車場は第一駐車場から第五駐車場まであります。プールに一番近いのは第一駐車場なのですが、この時間では第五駐車場・・・。ここからは徒歩で園内を横切ることに・・・。
向ヶ丘遊園地では車での来場者は駐車場の受付で「入場料+駐車料金」を払います。そのためこれ以降は車で通る敷地は全て向ヶ丘遊園地内になります。
誘導員は所々いるのですが、誘導が意外に地味で、コスチュームなども普通の服に見えて気がつきませんでした。なんと、誘導員がいたのに全然違うところに止めてしまった・・・。すいませんでした・・・。
ちなみに、この駐車場いまどき未舗装です。砂利が敷き詰められているため、車が走ると砂煙が・・・。
ここからは園内を縦断してプールに向かいます。プールへは徒歩で約10分の道のり。花と緑の遊園地が売り物ですので、この花畑を通りながらプールに向かいます。
花畑を抜けると遊園地の階段の上になります。プールは階段の中腹にあるので、ここからなんとエスカレータを下がります。このエスカレータを下りきるとメインエントランスになります。何とも変な雰囲気です。
さてメインエントランスの周りですが、なんとも古めかしい雰囲気です。改札は2ブースしかも「もぎり」、出口も2ブース、中央は団体用でしょうか、こちらも2ブース・・・非常に古い(懐かしい)作りです。
さあ、再びエスカレータを登ってプールに向かいましょう。プールはエスカレータ横に入口があります。入口の手前はアーケードゲームが固めています。この点は遊園地らしい施設の配置です。
プールでは、入園料に加えて300円を払います。他のアトラクションの料金を考えると、ここのプールはアトラクションのような扱いになっているのでしょうか?
プールの入場料はチケットの発券ブース買います。3ブースありますが、現在は1ブースでの対応です。
チケットは購入後、隣の改札に渡してプールに入場します。この改札の前にはプールの水温、現在のプールの利用状況などを説明しているボードがあります。各プールとも27度以上の非常に高い水温です。
改札の中は通路になっていて、左側が更衣ブースになっています。右側には、ベビーカーを持ってきた人たちのために預かるブースがあります。ちなみに1日200円で優良です。
ベビーカーは受付のおじさんに渡すと、お金を取られて預かってもらえます。特にタグなどの受け渡しはありません。もっとも子供も妻もいない独り身の小生にはあまり関係のないところですが・・・。
さて、この更衣ブースですが非常に暑い・・・。着替える場所もあまり広くないですし、さらに言えば水が溜まっているところもあり、やや清潔感に欠けます。さらに更衣室の通路には家族できた人のためにでしょうか?ロッカーも500円の大型タイプがあります。
コインロッカーは男性用の更衣ブース内に通常タイプが760個あります。このほかに500円の大型タイプが50位でしょうか?男女併せて1500個程度のロッカーがあります。
更衣ブースの入口はカーテンで仕切られていて、内部にはドレッサーもあります。ドレッサーは清掃が行き届いているようで、非常に清潔です。
荷物をまとめて収納したら、いよいよ外に出ましょう!
場内の構成
向ヶ丘遊園プールは非常にシンプルな作りです。場内をグルリと取り囲む流水プールと、その中央に配置されている遊泳用のプール。
流水プールは100センチの水深、一方遊泳用のプールは120センチの水深です。
どちらも昔ながらの青いプール面に、白いプールサイド・・・。プールサイドは段になっていてここは、イスにもなっています(?)。
さらに、この二つのプールはつながっています。水深が違う二つのプールを一つにするため、ここではプール内で段差を付けています。以外にこれは怖い・・・。ともすると「コテン」となる原因になりそうなので、利用時は要注意!
さらに場内には橋がありますので、ここもやはりぶつからないように要注意!
続いて、入口手前にある子供用のプール。こちらは水深40センチで中央に大型の遊具があります。
こちらは、子供&ビデオ片手のご両親でごった返しています。こんな状態でも子供が追える・・・。小生ならどこにいるのか見失いそうですが・・・。
さてさて、もう一つのプールはちょっと離れた場所にあります。流水プールを抜けて、階段を登り詰めるともう一つのプール「スライダープール」に着きます。その名の通り「スライダーのためのプール」です。
向ヶ丘遊園プールでは3つのコースがあります。全てボディースライダーで、コースも短めです。一昔前の・・・雰囲気は残念ながら拭えません。
このプールは基本的にスライダーの利用者のためのプールですが、監視員も割合のんびりしていて、着水プールは子供の遊び場になっています。
さらに、スライダーの入口では「水着の破損に注意??」とサインが・・・しかし子供はそんなことはお構いなし・・・楽しそうです。ちなみに身長制限は120センチです。
さて、場内のトイレですがいつものようにチェックしておきましょう。
やはりこちらも、最近の施設のものと比べるとちょっと、見劣りします。でも足洗はきちんとしています。足首までスッポリつかるくらい以外に深い足洗です。
さて、場内ですが貴金属品やメガネを付けての遊泳は禁止です。さらに衛生上の理由からサンオイルや日焼け止めの利用も禁止です。しかし、抜け道があって、メガネのストラップを付けての利用や施設が指定しているサンオイルや日焼け止めは利用しても良いというのです。なんて理不尽な・・・?
さらに、場内でけがなどした場合には、救護室へとなりますが、救護室はプールサイドの2階にあります。ちゃんとサインもあるので、わかりやすい。ここは救護室の他、場内放送の詰め所になっています。
さらに救護室の奥は、室内の休憩所になっていて空調の利いた場所でのくつろぎのひとときを満喫できます。小生は太陽の下で休憩する方が好きなんですが・・・。人それぞれのようです。
場内は階段が多くなっていますが、階段の縁に足をぶつけてしまわないように、ラバーが巻いてあります。でもこの分滑りやすい・・・
さらにこの施設全体で言えることは、パブリックスペースが極端に狭いことです。とにかく陣地になる場所がありません。良い場所はすでに敷物で完全に確保されています。満席になってしまってからやってきた人は、最悪流水プールのプールサイドに陣取ることになります。ちなみに今回は小生もこのパターン・・・。でも荷物をおいてみると以外に良い感じ・・・。普段から広い環境に慣れていない人は、この方が落ち着くかもしれません??
アトラクション&レンタル
場内で、アトラクション的なものと言えば、スライダーです。先ほどもご説明したとおり3コースあります。
各スライダーとも、120センチの身長制限があります。ボディースライダーですので、特に道具などは無く、体一貫で突っ込んできます!
着水地点には1名の監視員が、そしてスタート地点には1名の監視員となっています。特に合図などは行っていませんでした。スタートの監視員の熟練度が必要なようです?
続いてレンタルですが、まずは有料席のレンタルです。こちらは2種類のレンタルコーナーがあります。どちらも3000円です。ちなみに利用が終了すると、次の方の受付を行いますが、満席時には空いた時点での予約などは受け付けません
日陰側では、スノコがレンタルコーナーとなります。受付で申し込み手続きが終了するとゴザが渡されますので、これを敷いて利用します。利用終了時はゴザを返却します。
受付の状態は改札前の他、受付で知ることができます。満席の時は「満席」のサインが出ています。
続いて、遊具のレンタルです。規模は小さいですが、こちらは以外に充実しています。レンタル場所は流水プールの入口で、レンタルの他、コンプレッサーもありますので、利用してください・・・。
レンタル品は全て1時間単位の貸し出しです。フロートからゴムボート、ボディーボードもあります。しかしボディーボードをやれるような場所は・・・どうなんでしょうか?
ゴムボートはよく利用されているようです。しかしその他ものは・・・品の割にはちょっと高いかも・・・。
物販と飲食
場内の物販施設は、更衣室のとなりにある「プロショップ」です。こちらでは先ほどの「指定サンオイル」が販売されています。飛ぶように・・・は売れていませんが・・・
このほかにあるのは全て飲食のお店になります。飲食のお店は子供用プールの脇にまず1つ。
こちらは、軽食と飲料を販売し、テーブルもありますのでその場で食事もとれます。
一方流水プール内にあるショップでは、軽食&飲料なんですが、こちらはテイクアウト専門です。従って受け取りのカウンターがあるだけで、テーブルなどありません。場内は、プール内を除いて基本的に飲食は自由です。
もっとも、これだけパブリックが狭いと喫食スペースを確保するだけでも大変です。
そしてこのエリアには今日は閉まっていますが、混雑時にはドリンク専門のお店が出現します。場所的には今のテイクアウトショップとプールを挟んだ対面です。
さらにスライダープールにはもう一つ、飲食スペースがあります。こちらはカフェテリアスタイルで、注文すると番号札をもらえます。
注文品ができると番号が呼ばれるので、札と交換でもらえるという仕組みです。スライダープールは、割合空いているのでゆっくり食べたい方はこちらがお奨めです。
よく考えてみると、今日は朝からなにも食べていないことに気が付きました。せっかくなのでこちらでいただきましょう。
今日はラーメンとウーロン茶です。飲んでませんからね(車なので)!
感想
最近はプールと言わずに「ウォーターパーク」という言葉を使うところが多くなっています。元祖はサマーランドとも東京マリンとも言われていますが・・・。
しかし向ヶ丘遊園プールは間違いなく「プール」でした。ウォーターパークと名乗ったら、確実に「パーク」となるパブリックスペースが必要です。ここにはスペースがないのです。そういった意味では昔からのプールのスタイルを確実に守っていると言うのが実感です。
プールにはトラスがたくさんありますが、これは冬季にスケートリンクとして利用するための配慮ですが、どうもこの存在が施設を小さく見せているような気がします。思い切って無くしても・・・なんて・・・?
さらに場内の忘れ物は出口にまとめて置いてあります。いわゆる遺失物センターらしきものは無いようです。この点やはり遊園地なんです・・・。
さて今日はイベントで「レゴワールド2001」を開催していました。ちょっと覗いて見ましたので、こちらからどうぞ!
レゴワールド2001
レゴは子供のブロックでは世界NO1のシェアを誇る会社です。まずは入口にあるこの兵隊・・・・。これも全てブロック・・・よく見ると凄い・・・
入口では300円を取られます。さぁ中に入ってみましょう。
中にはお城の生活の風景をブロックで再現したようです。非常に精巧でしかも、動く・・・。いやはやこれはブロックと言うよりは、立派な芸術です。いやぁ・・・凄い・・・。
さてこのエリアを抜けると、この先はブロックを自由に使って遊べるフロア
さらに出口にはレゴの製品がたくさん販売されています。いやぁ奥が深いですよ!
小田急電鉄運営の遊園地。花壇が地元では有名でしたが、アトラクションのハイスペック化傾向についていけず閉園となってしまった施設
視察履歴
閉園決定のニュースを聞いてきました (2001年10月22日)
プールを見に来ました (2001年7月14日)
子供の時以来の来訪でした (1999年8月21日)
動画内容の文書起こし
昔、昔、
今から20年ほど前の神奈川県は川崎市、宮前区に向ヶ丘遊園という大きな遊園地がありました。
1927年に親会社の小田急電鉄の開通とともに誕生して、1970年代には沿線沿いの住民を中心に多くの人で賑わっておりました。
特撮技術で世界的に定評がある円谷プロダクションの撮影スタジオから近いということもあり、昭和期のウルトラシリーズにはロケ地として何度も利用されておりました。
ウルトラQ、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン
放送時には高視聴率を連発したテレビ番組に何度も登場しておりました。
遊園地最寄りの小田急線の向ヶ丘遊園駅より、施設の入口前まではモノレールが通じており、遊園地の行き帰りの子供達には大変好評でした。
向ヶ丘遊園は花のテーマパークとしても有名でした。
改札を抜けた先にある大階段の花壇の中にある花時計は、四季を通して様々な花がその色彩を競っておりました。
向ヶ丘遊園の園内は大きく分けると3つのエリアがありました。
遊戯機器エリア、フラワーガーデン、プールエリアです。
プールは夏時期しか営業しませんが、遊泳プールと流れるプール、スライダーなど夏のレジャープールに必要なものは最小限揃っており、多くの家族連れで賑わいました。
プールエリアは改札を抜けた後に、階段の途中で園内とは通路が分岐しており、遊戯機器やフラワーガーデンを同時に楽しむことは構造上できません。
このため、プール内では飲食店舗などが繁忙時期には大変混雑しました。
今のようなお洒落な食べ物などは特にありませんが、ラーメン、カレーといった遊園地の定番商品を味わうことができました。
遊戯機器のエリアは、改札を抜けて階段を登り詰めた丘の上にありました。オリジナルのアトラクションと言われるものはなく、遊園地の定番機器がエリア内には多数配置されておりました。
機器の数は全部で20機種。多くの機器は子供向けに作られたものであったため、若いカップルにはちょっと物足らない感じで、小学生以下の子供を連れた家族が利用することが多かったようです。
屋外の施設が大半を占めていた向ヶ丘遊園ですが、レゴやプラレールという子供向けの遊具を集めた屋内施設もありました。
季節ごとに利用できる遊具を入れ替えたりするなど、飽きが来ないように工夫されていました。
円谷プロダクションのロケ地として使われることが多かったこともあり、円谷プロダクションの作品である「怪獣ブースカ」のエリアもありました。
一日に何度かブースカが登場して、写真を撮ったり、握手をしたりすることもできました。
そして、フラワーガーデン。
今でこそ、ハウステンボスや東京ドイツ村など植栽で誘客する施設は多数あります。
しかし、この時代は遊園地は遊戯機器がどれだけ充実しているかが、施設の評価に直結していた時代です。
ある意味フラワーガーデン時代は、先駆的な施設で後のテーマパークの植栽配置には影響を与えたかもしれません。
花は、バラ、蘭、チューリップなど季節に合わせて咲く花が変わり、花に囲まれたフラワーガーデンは家族でお弁当を食べるには最も良い場所でした。
向ヶ丘遊園の商圏内の住民は、その多くが高度経済成長期にマイホームを手に入れた人が多く、自宅の庭を手入れする際に参考にしていた人も多くいました。
このためフラワーガーデンは高齢者が写真を撮るために利用するという使い方も多くみられたそうです。
小田急線の沿線は高度経済成長期に団地が建設された場所が多く、利用者も多い鉄道路線でした。
このため無理に事業を拡張しなければ、一定の利益が上がる施設だったはずです。
しかし、1983年に東京ディズニーランドが開業すると、関東の遊園地は大きな打撃を受けます。
向ヶ丘遊園にとって大きなダメージだったのは、それまでは日本に存在しなかったフリーパスの登場だったと思われます。
元々遊戯機器は建設費を賄えるように一回当たりの利用料金を設定します。
これがフリーパスになれば同じ機器を何度も利用してもらえるようになるというメリットはあります。
しかし、一回当たりの利用金額は個別に利用した場合よりもかなり下がります。
加えて、東京ディズニーランドが開業する前からあった遊園地の多くは、飲食施設や物販施設を重視しておりません。
遊園地は家族がお弁当を持っていく施設と考えられていたからです。
また、向ヶ丘遊園のように近隣からの集客が多数を占めている施設では、あえてお土産を購入して買えるという客層も少なかったはずです。
このため東京ディズニーランドのようにフリーパスでアトラクションの利用料料金を低く抑えて、
その分を飲食や物販で稼ぎ出すというモデルが通用しなかったことが経営的に悪影響だったと思われます。
2000年にはそれまで駅と遊園地を結んでいたモノレールも老朽化により点検時に大きな問題が見つかり営業休止。
その後は客足が離れていくことに歯止めがかからず、ついに2002年の3月に閉園となりました。
閉園後はフラワーガーデンの存続を望む人も多くいましたが、計画は何度かとん挫して現在は敷地の一部にその面影を残すのみになっています。
唯一施設の存在が確認できるのは、駅名だけということになってしまいました。