閉園決定のニュースを聞いて来ました

No.0097


向ヶ丘遊園


向ヶ丘遊園


視察日時 2001年 10月 22日


到着まで

とある日に新聞に目を通していたら大変な記事を発見。「向ヶ丘遊園来年で閉園」。なんと幼少期のレジャーを支えてきた向ヶ丘遊園が閉園になってしまうとのこと。

75年前に生まれた歴史あるこの施設も、時代の流れには勝てないのか・・・?非常に悲しいものがありますが、こんなときこそ施設の様子を確認しなくては、視察人の名が泣きます。

早速施設に向かうことにしました。小田急線の向ヶ丘遊園駅からいつものようにモノレールで・・・と思ったのですが、なんとモノレールは今年の2月で廃線に・・・。

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今年の夏に来たときには車だったので、気がつきませんでした・・・なんたる不覚・・・。

で結局駅から歩いて施設に向かうことになったのですが、悲しいかな駅から10分程度の距離なのに駅には全く案内がありません。

道順はわかっているので歩いてみると、それはそれで、向ヶ丘遊園に向かう人は結構います。どこでもなくなることがわかると、客足が増えてしまうようです。

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施設の手前まで来ると、駐車場が見えてきます。

駐車場は入口で料金は先払い。場内の各所に第1から第5駐車場までありますので、開いているところに向かって駐車します。場所によっては施設の反対側になるので、注意しましょう。

さて歩いてきた小生ですが、エントランスは昔ながらの雰囲気をそのまま残しております。

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チケット売場は3ブースあります。団体用が1ブースで、一般用には2ブースの対応です。チケットは入場券の他に、フリーパスがあります。こちらはリストチケットになっていて、改札で腕に巻いてくれます。

非常に寂しいのが、スタッフがあまり声をかけてくれないことです。「今日は!!」くらいは言って欲しいのですが・・・。

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ちなみに、フリーパスは出口では、はさみで切り取って回収となります。

では中に入りましょう!!


場内の構成

改札を抜けるとちょっとした広場になっています。ここから階段もしくはエレベーターで山の頂上まで登ります。

テーパパークと比較すると、こうしていきなり壁(山)があって中がどうなっているか?とか目的のアトラクションはどこにあるか?を確認できないことは非常に辛いものがあります。

昔は「とにかく山の上に出てから・・・」と思っていましたが、色々施設を見てみるとエントランスからアトラクションのエリアはできるだけ平坦な道ので行きたいものです。

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地形上のことなので、どうすることもできませんが、まずは山の頂上に登ります。階段で・・・はさすがにこの歳になると辛いので、右端にあるエスカレーターを利用します。

階段の途中に「花時計」があるのですが、エスカレーターだとここを通過してしまいます。踊り場を作ってくれれば、記念撮影などができるのですが・・・。

エスカレータの最初の踊り場はプールの入口。来年はここにも来れないのか?と思うと非常に複雑な心境です。

エスカレータを登りきったところは、「センタープラザ」と呼ばれており、ここから左に行くとアトラクションのエリア、右に行くと「花壇」のエリアです。

向ヶ丘遊園は地元の人には「フラワーパーク」等とも呼ばれており、四季折々の花が観賞できるのです。

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センタプラザにはステージショーのエリアがあり、ちょうど「ウルトラヒーローショー」の真っ最中。しかし舞台の袖が丸出しで・・・。

ウルトラマンが舞台の袖をくぐって出てくるのが見えてしまうのはちょっと悲しい・・・。ウルトラマンは「正義の巨人」なんですから・・・。

さて各エリアをチェックする前に、トイレを見ておきましょう。

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トイレはとても清潔です。トイレのサインが小さいので、ちょっと見つけづらいのが難点ですが・・・。


アトラクションエリア

センタープラザから左に進むとアトラクションのエリアです。センタープラザでもっとアトラクションのエリアを告知すればよくわかるのですが、サインはあまりありません・・・。

アトラクションのエリアは上下2段になっていて、途中に「ブースカランド」という子供専用の広場があります。まずは上段の方から見ていきます。

上段は幼児向けのエリアです。バッテリーカーやマメ汽車などのアトラクションがあります。

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この隣には、確かに身長制限はないのですが、子供にはちょっと辛い「お化け屋敷」があります。

人がいないお化け屋敷は確かに怖いのですが・・・。お化け屋敷の隣には回転ボートがあります。スピードはそんなにでないもので、子供の喜ぶ姿を撮影するご両親の姿が目立ちます。

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このエリアには、コースターがあります。一つはミニコースター「キディシャトル」。もう一つはローラーコースター「ディオス」です。

キディシャトルは、コースターをロープで引っ張り上げて、後は振り子の原理で行き来するアトラクションです。ブランコをコースターで作るとこうなるのでしょう。

ディオスはいわゆるジェットコースターです。ものすごく回転したり・・・と言うことはありません。

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さて下段の方を見てみましょう。こちらには遊園地でおなじみの「アーケードゲーム」があります。1回200円くらいで楽しめるのですが、スタッフの方があまりMCを行わないので、お客さんもお金を払って無言で楽しんでいます・・・。

アーケードゲームの横にはコーヒーカップがあります。こちらはご家族みんなでご利用の様子です。回しすぎてビデオを持てなくなっている方もおりますが・・・。

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その隣には、ウォーターシュートのあるライド「アドベンチャーコースター」こちらはこの遊園地で最も激しいスリルライドの一つです。

さすがに人気があります。でも10分くらい待てば乗れるようですが・・・。

アドベンチャーコースターと通路を挟んで反対にあるのが、フラワートレインです。これは豆SLがお客さんを乗せた車両を引っ張ります。

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この先には、フローラルダンスとワイルドグースというともに回転して楽しむアトラクションがあります。かなり年期が入っているようで、屋根には汚れがこびりついています。

中を見るときれいなんですが、こうした屋根とかを見てしまうと、「古くさい」という印象を持ってしまいます。テーマパークほど徹底した清掃は行っていないからなんでしょうけど、ちょっと寂しいですねぇ・・・。

この隣はメリーゴーランドです。こちらは子供にも人気ですし、ビデオを回すご両親にも大人気です。

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下段のアトラクションはこのくらいです。

で、上段と下段を結ぶエリアにある「ブースカランド」です。こちらは子供に大人気。乗り物に乗るよりは自由に遊具で遊ぶものの方が好かれているようです。

このエリアは大人は付き添いとして入場できます。

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怪獣ブースカなんて今の子供はもちろん知らないのでは・・・実は小生が生まれた年に放映されたのですから・・・。

「シオシオノパァ」なんて今でも使う人がいますが、これがブースカの得意の言葉なんです。

ちなみに滑り台などの他に、「ブースカサイクル」という空中サイクルもあります。

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ブースカサイクルの先には、定番の観覧車もあります。


花のエリア

向ヶ丘遊園には子供を連れていない方もたくさん来ます。もっとも小生のように視察目的で一人で来る人は殆どいません・・・。

実はこの遊園地は花壇が有名で、四季折々の花を見に来る人が結構いるのです。

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温室に向かう通路には左右にきれいな花がたくさん咲いています。大きなレンズを付けたカメラで接写する人、花をバックに記念写真の撮る人・・・楽しみ方は様々です。

この施設の一番奥には、温室があります。温室には鉢植えのコンテストの入賞作品が並べられています。花の種や鉢などの購入もできます。

残念なのが動線がめちゃくちゃで、通路の行き来が大変なことです。一応順路はあるのですが、影になる場所にありよく見えないのです。

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ちなみに、こうした花などの自然の景色をアトラクションで楽しみたい人のために、池にスワンボートがあります。これがなかなか人気が高くて、乗るまでに20分くらい待たされます。

さらに花を見ながら食事を・・・という人には芝生の広場もあります。「ピクニックガーデン」と呼ばれています。今日はあまり使っている人がいませんが・・・。

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花壇はこれだけではありません。「バラ苑」もあります。こちらはバラがたくさん植えてあり、年齢層が高い方の人気スポットとなっています。

しかし、小生は全くこの手の芸術が理解できないので、上から見ただけで充分・・・ごちそうさまでした。

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バラ苑と花壇の境には小田急電鉄の資料館もあります。模型の電車が走っていたり、小田急の特急ロマンスカーのシートが展示されていたりとマニアにはたまらないエリアです。

登ったり降りたりと起伏が激しいのですが、疲れに見合うものには出会えるようです。


物販と飲食

場内の物販施設は、センタープラザに集中しています。お土産に楽焼きの体験コーナーなんかもあります。

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これ以外の物販ショップは、エントランス付近にあります。

こちらはお土産と、花の鉢植えの販売などがあります。

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飲食施設は、センタープラザに大きな喫食エリアがあります。こちらはテイクアウト方式です。場内のテーブルを利用します。

センタープラザの横には、カフェもあります。コーヒーを屋内でゆっくり飲みたい人や、休憩に利用する人が多くなっています。室内は禁煙なので、喫煙をしたい人は外の座席でどうぞ!

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この他には、アトラクションのエリアにもテイクアウトコーナーがあります。メニューはセンタープラザと殆ど同じです。カレー、ラーメン、焼きそば・・・。定番メニューは何でも揃っています。

ちなみにアルコール類もあります。歩き回った後のビールは格別です・・・。

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このエリアの喫食スペースがちょっと残念なのが、地面が傾斜しているエリアであることです。微妙にテーブルが傾いてしまうのです。

もちろん、ひっくり返るような傾斜ではないのですが、ちょっと不安で・・・

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この他には、本格的な手打ちそばのお店があります。このお店に行くときも山を登らないと行けないのが・・・辛い・・・。


感想

閉園になってしまうことは非常に残念です・・・。なんとかできないのかなぁ・・・と思う反面、確かに仕方ないか?とも思えるところもあります。

この施設の最大の弱点は「起伏の激しさ」でしょう。各エリアに移動するときにはかなりの高さを移動することになります。

アトラクションの中で上下するのはあまり気になる人はいませんが、いわゆるパブリックスペースはあまり上下動が激しいと疲れて滞留時間と滞留範囲が狭まってしまいます。

お茶するのに坂を上り、花壇を見るのに階段を登り・・・これがうまく克服できれば良いのですが・・・。

残りも短い期間となりましたが、是非もう一度来たいと思います。

視察記録

小田急電鉄運営の遊園地。花壇が地元では有名でしたが、アトラクションのハイスペック化傾向についていけず閉園となってしまった施設

視察履歴


閉園決定のニュースを聞いてきました
 (2001年10月22日)
プールを見に来ました (2001年7月14日)
子供の時以来の来訪でした (1999年8月21日)

動画内容の文書起こし

昔、昔、

今から20年ほど前の神奈川県は川崎市、宮前区に向ヶ丘遊園という大きな遊園地がありました。

1927年に親会社の小田急電鉄の開通とともに誕生して、1970年代には沿線沿いの住民を中心に多くの人で賑わっておりました。

特撮技術で世界的に定評がある円谷プロダクションの撮影スタジオから近いということもあり、昭和期のウルトラシリーズにはロケ地として何度も利用されておりました。

ウルトラQ、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン

放送時には高視聴率を連発したテレビ番組に何度も登場しておりました。

遊園地最寄りの小田急線の向ヶ丘遊園駅より、施設の入口前まではモノレールが通じており、遊園地の行き帰りの子供達には大変好評でした。

向ヶ丘遊園は花のテーマパークとしても有名でした。

改札を抜けた先にある大階段の花壇の中にある花時計は、四季を通して様々な花がその色彩を競っておりました。

向ヶ丘遊園の園内は大きく分けると3つのエリアがありました。

遊戯機器エリア、フラワーガーデン、プールエリアです。

プールは夏時期しか営業しませんが、遊泳プールと流れるプール、スライダーなど夏のレジャープールに必要なものは最小限揃っており、多くの家族連れで賑わいました。

プールエリアは改札を抜けた後に、階段の途中で園内とは通路が分岐しており、遊戯機器やフラワーガーデンを同時に楽しむことは構造上できません。

このため、プール内では飲食店舗などが繁忙時期には大変混雑しました。

今のようなお洒落な食べ物などは特にありませんが、ラーメン、カレーといった遊園地の定番商品を味わうことができました。

遊戯機器のエリアは、改札を抜けて階段を登り詰めた丘の上にありました。オリジナルのアトラクションと言われるものはなく、遊園地の定番機器がエリア内には多数配置されておりました。

機器の数は全部で20機種。多くの機器は子供向けに作られたものであったため、若いカップルにはちょっと物足らない感じで、小学生以下の子供を連れた家族が利用することが多かったようです。

屋外の施設が大半を占めていた向ヶ丘遊園ですが、レゴやプラレールという子供向けの遊具を集めた屋内施設もありました。

季節ごとに利用できる遊具を入れ替えたりするなど、飽きが来ないように工夫されていました。

円谷プロダクションのロケ地として使われることが多かったこともあり、円谷プロダクションの作品である「怪獣ブースカ」のエリアもありました。

一日に何度かブースカが登場して、写真を撮ったり、握手をしたりすることもできました。

そして、フラワーガーデン。

今でこそ、ハウステンボスや東京ドイツ村など植栽で誘客する施設は多数あります。

しかし、この時代は遊園地は遊戯機器がどれだけ充実しているかが、施設の評価に直結していた時代です。

ある意味フラワーガーデン時代は、先駆的な施設で後のテーマパークの植栽配置には影響を与えたかもしれません。

花は、バラ、蘭、チューリップなど季節に合わせて咲く花が変わり、花に囲まれたフラワーガーデンは家族でお弁当を食べるには最も良い場所でした。

向ヶ丘遊園の商圏内の住民は、その多くが高度経済成長期にマイホームを手に入れた人が多く、自宅の庭を手入れする際に参考にしていた人も多くいました。

このためフラワーガーデンは高齢者が写真を撮るために利用するという使い方も多くみられたそうです。

小田急線の沿線は高度経済成長期に団地が建設された場所が多く、利用者も多い鉄道路線でした。

このため無理に事業を拡張しなければ、一定の利益が上がる施設だったはずです。

しかし、1983年に東京ディズニーランドが開業すると、関東の遊園地は大きな打撃を受けます。

向ヶ丘遊園にとって大きなダメージだったのは、それまでは日本に存在しなかったフリーパスの登場だったと思われます。

元々遊戯機器は建設費を賄えるように一回当たりの利用料金を設定します。

これがフリーパスになれば同じ機器を何度も利用してもらえるようになるというメリットはあります。

しかし、一回当たりの利用金額は個別に利用した場合よりもかなり下がります。

加えて、東京ディズニーランドが開業する前からあった遊園地の多くは、飲食施設や物販施設を重視しておりません。

遊園地は家族がお弁当を持っていく施設と考えられていたからです。

また、向ヶ丘遊園のように近隣からの集客が多数を占めている施設では、あえてお土産を購入して買えるという客層も少なかったはずです。

このため東京ディズニーランドのようにフリーパスでアトラクションの利用料料金を低く抑えて、

その分を飲食や物販で稼ぎ出すというモデルが通用しなかったことが経営的に悪影響だったと思われます。

2000年にはそれまで駅と遊園地を結んでいたモノレールも老朽化により点検時に大きな問題が見つかり営業休止。

その後は客足が離れていくことに歯止めがかからず、ついに2002年の3月に閉園となりました。

閉園後はフラワーガーデンの存続を望む人も多くいましたが、計画は何度かとん挫して現在は敷地の一部にその面影を残すのみになっています。

唯一施設の存在が確認できるのは、駅名だけということになってしまいました。

 

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